EAFF東アジアカップ2015プレビュー

中国

EAFF東アジアカップ2010では優勝、前回の2013年大会は準優勝と好成績をおさめている中国だが、世界レベルにおいて成長を続ける日本や韓国に遅れを取っていたのが実情だ。

実際に2002FIFAワールドカップに出場してからFIFAワールドカップアジア予選を突破できていないが、今年1月のAFCアジアカップ2015では復活の兆しを印象付けるパフォーマンスを見せた。フランス人のアラン・ペラン監督が率いる中国代表は、従来の主力であったベテラン選手を代表から外す思いきったメンバー構成となったが、高い身体能力を強みとしながら、より洗練された組織で隙の少ない戦いができるようになった。

驚異的な反射神経を誇る守護神のワン・ダーレイ(Wang Dalei)を後ろ支えとして、全体がコンパクトなディフェンスで相手の攻撃を高い位置から封じ込める。攻撃はシンプルだが素早いパスワークから右サイドのシャン・チェンドン(Zhang Chengdong)や左のユー・ハイ(Yu Hai)が速いクロスをゴール前に送り、エースのオ・リン(Gao Lin)が合わせる。ボランチのウー・シー(Wu Xi)や10番チェン・ツィー(Zheng Zhi)も積極的に攻撃参加し、フィニッシュに厚みを付ける。左右のサイドバックも積極的に攻め上がるが、攻守の切り替えも早く、ボールに近い選手からプレッシャーをかけていくスタイル。

EAFF東アジアカップ2015でペラン監督は何人かの新戦力をテストするはずだが、日本や韓国ほど欧州リーグ所属の選手は少なく、AFCアジアカップ2015のメンバー中心で自国開催の優勝を狙う。




朝鮮民主主義人民共和国

朝鮮民主主義人民共和国がEAFF東アジアカップの舞台に帰ってくる。前回出場したEAFF東アジアサッカー選手権2008以降、FIFAワールドカップ 南アフリカ2010で44年ぶりに世界進出を果たし、AFC U-19選手権では10年大会優勝・14年大会準優勝、AFC U-16選手権では10年大会と14年大会で優勝するなどユース・レベルにおいても結果を残してきた。

昨年は第17回アジア競技大会(2014/仁川)で準優勝に輝き、今年から始まったFIFAワールドカップ ロシア2018 アジア2次予選でもイエメン、ウズベキスタンに連勝してグループHの首位に立っている。まさに着実に力をつけている印象だ。

そんなチームを率いるのは、キム・チャンボク監督だ。現役時代は80〜90年代に同国代表として活躍し、指導者としては女子代表のコーチ経験もある人物。オーソドックスな4-4-2の布陣で攻撃サッカーを標榜し、FIFAワールドカップ ロシア2018 アジア2次予選のウズベキスタン戦では4-2の勝利も飾った。

今大会にはJリーグで活躍する在日選手やスイスでプレーする欧州組も招集され、国内組もMFソ・ヒョンウクやFWチョン・イルグァンなど粒揃い。しかも、国内リーグの前半戦が6月で終わったこともあって、約1ヶ月間の長期合宿を積んで決戦の地となる中国・武漢に乗り込んでくる。勢いがあって準備も万端。今大会のダークホースになる予感だ。




日本

EAFF東アジアカップ2013の王者である日本は今年の3月にボスニア・ヘルツェゴビナ出身のハリルホジッチ監督が就任してから、全員が攻撃と守備に関わるサッカーを掲げ、選手には素早い攻守の切り替え、球際の厳しさ、ディフェンスの裏を狙う意識などが強く求められてきた。

その効果は代表メンバーの所属クラブでのプレーにも見られるが、中国、朝鮮民主主義人民共和国、韓国というレベルの接近した相手との真剣勝負は恰好の試金石になる。EAFF東アジアカップ2015には、欧州クラブに所属する選手たちが参加しないため、Jリーグで活躍する代表キャップの無い、あるいは少ない選手やU-22代表の有望な選手を起用することができる。

主力を担うのは6月に行われたFIFAワールドカップ ロシア2018 アジア2次予選(兼AFCアジアカップ2019予選)のシンガポール戦(0−0の引き分け)で先発出場したMF柴崎岳(鹿島アントラーズ)やFW宇佐美貴史(ガンバ大阪)などが予想されるが、浦和レッズのJリーグ1stステージ優勝に大きく貢献した武藤雄樹など新戦力の台頭も期待される。

振り返れば2年前もザッケローニ監督のもと、Jリーグで活躍する選手で大会に臨みながらフレッシュな選手たちが組織の団結力と個人の能力を発揮し、優勝を獲得すると共に、FW柿谷曜一朗、MF山口蛍やDF森重真人など多くの選手がその後の代表定着につなげた。勝利を目指す中で、どの選手が指揮官に実力をアピールできるのかが注目だ。




韓国

1勝もできずに終わったFIFAワールドカップ ブラジル2014から1年。ふたたび立ち上がった韓国は自信を取り戻しつつある。

その立て直しを牽引するのは7年ぶりの外国人監督となったウリ・シュティーリケ監督だ。70〜80年代にドイツ代表としても活躍した60歳の指揮官は、ヨーロッパで活躍する既存の主力組と、精力的なKリーグ視察で発掘した新戦力たちを調和させたチーム作りを進め、AFCアジアカップ オーストラリア2015準優勝。4-2-3-1をベースに、有名無名を問わず活用できる人材は適材適所に起用し実利=結果を得るそのスタイルは“実学サッカー”とも呼ばれ、FIFAワールドカップ ロシア2018を見据えた若手起用への評価も高い。

EAFF東アジアカップ2015でもイ・ドングッ、パク・チュヨンらベテランを外し、87年以降生まれの選手たちでチームを構成。リオデジャネイロオリンピック世代やKリーグ・チャレンジ(2部リーグ)からも抜擢した。もっとも、テストや戦力発掘の機会とは捉えていない。「欧州でも国境を接する国とはライバル意識をぶつけあう試合になる。(そういう意味で)EAFF東アジアカップ2015は特別ですべての試合が重要だ」と、大会の意義と重さを熟知している。“自信”を“確信”にするために挑むEAFF東アジアカップ2015。シュリーリケ・コリアが目指すのは5年ぶり3度目の優勝だ。

ニュース一覧へ